「中間的専門機関」の着想
- makiyama@allgovern.com
- 1月26日
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第3回
(3) 政策提案に結びつく道筋
課題の解決は、単にそれが検討されるという状態にとどまるのであれば、解決にまでは到達できません。つまり、公共の場で解決されるということにおいては、およそ、法律など社会のルールが確立されることと、それが実行されるための運用に関わる機関とが、連動することとが必要です。
その前提が、まず、当該の課題に関わる政策が具体的な形で提案されるということになります。また、法的な基盤やときに許認可なども関わる仕組み運用には行政機関との連携、そうした機能に見合う法的な位置づけが明確化された担当部局あるいは機関が必要となります。ここでもやはり透明性を確保して公共とつながり、前回の(1)情報の収集と蓄積・(2)関係者・関心を持つ市民が参加できる議論の場 の基盤の上に成り立った機能を果たせることが期待されます。当該の課題に関わる制度それ自体を見直し、修正し、時代や必要に応じて進展させるために新たに作っていくための公共的な役割を担うこと、それがそれぞれに課題を担う機関となります。
そうした仕組みづくりで「情報の収集と蓄積」「関係者・関心を持つ人が参加できる議論の場」が確保されるための仕組みが定置されることになります。
このような2つの機能を基盤に、今、当該課題のために必要とされる政策を打ち出し続け、意思決定の場へのつないでいく、そして運用のための役割を担う、官僚機構と連携して課題に特化する一つひとつの機関としてそれぞれが政策提案を担い、実現化させるために備えられる機能となります。市民の、より直接的な参画のもとにです。
(4)パズルのピース
これからの政治に必要とされていること、今ある重要な課題に最善の政策を打ち出し、選択し、実施し、フィードバックをしつつ、さらにより良い政策を策定・発展させ得る仕組み、同時に、複雑に移り行く社会にあってこれまで経験したこともないような新たな課題の出現に対しても柔軟・迅速に対応できる政治、そのような政治を実現するために必要とされる要素として、考えられる事項を挙げてみました。本編を通して第4回以降では、実例など参照しながら検討していきます。
以下の要素を組み立てて統合された政治の機構の一部として機能させること、それが、新たな政治機構を検討するということになります。
①常設であり常にその課題に取り組み続けることができ情報が蓄積される。
②専門家を含む関心ある適切な協力者が参加できることで、より広い情報の集積、適切
な議論、より良い政策の提案に結びつく仕組みをもつ。
③政策が実現された後にフィードバックする仕組みを備えている。
④政策について広く社会において議論できるための広報・パブリックコメントなどを適
切に運用できる。
⑤適切な費用で課題が解決して必要がなくなるまで継続できる経済性を有する。
このような政治を実現するためのシステムの核となるのが「中間的専門機関」と称することとする機関です。
順を追ってこの中間的専門機関について検討していきます。このような仮想的な政治制度に従って、国政を再編成することに妥当性があるのか、そして、希望を託せるのか、政治の改革に結び付く見込みがあるのか、見極めつつ、提言したいと考えます。
「中間的専門機関)の概念像
中間的専門機関は、課題の領域、社会、政策の各々の領域が協働し、ガバナンスを成立さるための社会(市民)と行政(政府)と専門家(当該領域に関心ある人々)との各領域の境界を結ぶ位置に位置して(中間的位置で)それぞれの領域が協働する場の核となる機関であるという意味で中間的であり、また、法律等の規制が定められても、そうした規制のルールのもとで現場での運用が円滑・適正に行われるかのマネジメントを統括する組織が必要で、ルールと国民・実施当事者等、政策や規制と現場との間に位置して運用を担う立場にある中間的という意味・役割をもちます。
このような中間的位置付けにあって、中間的専門機関は当該課題の解決に係る社会制度の中核となる位置づけで、取り扱う課題が明確であり、社会問題の解決の中で求められる施策の策定や意思決定後の運用・適切なリスクマネジメントを含む課題に特化した統合的なガバナンスを実現する役割を担うこととなります。
また、中間的専門機関の「専門機関」とは、特定の課題について問題指向的であり、必要な能力を備えた専門家を含むスタッフにより継続的に取り組むという意味であると同時に、特定の課題分野に特化して、責任と権限とを法律等で明確に位置付けられた機関であることを意味します。(図表1)
その概念図は以下のようです。

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